「ウタウタイノホネ」 裏面

 

    



 

  A5 / 418.6 dpi / pixel比14.3%縮小

  


 



  「宴【-en】」からずっと続いていたA4、表面カラー、裏面白黒(「月刊」はB5片面だったけど)の伝統が今回ついに破られることになり、A5サイズの4ページ構成(A4の一つ折り)、表面と裏面がカラー、中面が白黒となった。

 私は裏面と中面を担当することになった。これは大変だ。作業量は単純計算で2倍になる。いやそれよりも、裏面は初体験のカラーなのだ。

  私がチラシを描き始めるとき、頭の中に完成図がイメージされていることはあまり無い。たいていは素材を並べたり加工したりするうちに偶然いい物が出来て、それを生かしながら作りすすめていくうちに最終形のイメージが徐々に浮かんでくるのである。従って、一番最初の「偶然」がチラシ全体の方向性を決定し、チラシの最終形に最も大きな影響を与える。

 ところが今回は、カラーであることを意識したとたん、どこから手を付けていいか分からなくなってしまい、最初の偶然を生み出す術さえも見つからなかった。

 そこでまず取っかかりとしたのがロゴだった。今回、ロゴの原案が演出さんから提示されていたので、それをベースに作成した。

 しかしこのロゴも配色の決定が難航した。最初にパッと頭にイメージした配色に決まっていれば良かったのだが、その案は見事に没になった。こんなとき、最初にイメージしたものをきっぱりと捨ててすぐに新しいものを構築できれば良いのだが、私は生来の貧乏性のせい(?)か、一度作ったイメージをいつまでも引きずってしまうのだ。そのため、第2案はランダムなトライ&エラーで作成するしかなくなるのだが、一つの色を決定するだけでも選択肢はかなり多いのに、3種類の色を決定するとなるともう組み合わせは無数にある気がして、どれでもいいような気分になってくる。

 結局、ロゴだけでかなりの時間を割いてしまった。

 ロゴがほぼ完成して、それを生かす形で背景を考えたとき、ロゴは月になった。そこから、ロゴを中心にして色々な写真素材に並べて加工してみてはしっくり来ず消す、という作業を繰り返した。この作業も、白黒の時と比べると答えにたどり着くまでかなり時間を要した。

 そしてようやく、深い緑のもやに包まれた街が浮かんできた。

 難産の末ようやく完成した背景は、初のカラー作品の割にはまずまずの雰囲気を出せたと納得することができた。しかし、その満足がモチベーションが消化させてしまい、また精神力の残量が切れかけていたこともあって、背景と文字情報を調和させるところまで創作意欲が持たなくなってしまい、背景の上に文字情報を単に「乗せた」風になってしまった。今回の反省点である。

自己評価 ★★★

 

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