金縛りと僕

(墨守#7より転載)
 この間ついに初体験しました。
 金縛りを。あれマジで怖いっス。シャレになりませんぜ。
   その前日の晩、夜ふかしをしてしまった俺は、学校から帰って来てすぐ、とろけるように横になってしまった。
 「あかん、今寝ると今晩また寝られへん・・・」と思いつつもフェードアウトする。
 そしてけだるく目が覚めた。「くそー、やっぱり寝てもうた」と思いながら立ち上がった・・・と思ったら立ち上がってない。
 何度も立ち上がろうとする。心の中では立ち上がってるんだけど、視界が全く変わっていない。焦る。手を上げようとする。上がっているつもりでも実際はまったく動いていない。そういえば意識が朦朧としている。  その瞬間、悟った。
 自分は死の一歩手前まで衰弱してるらしい。
 大声で助けを求めた。でもかすれ声すらしない。「タスケテーェェェ」と力いっぱい叫んでいるのに心の中で響くだけだった。
 終わった・・・
 諦めたとき、目が覚めた。

 要は金縛りとは「金縛りにかかった夢を見る」ことなんです。
 ちょっと分析すると、苦しい態勢で寝ていたりして、眠りが浅く、何回も夢と現実の間を行き来してたりすると、ふと、頭だけ起きて体は寝てるという状態が起こるんだと思う。そんな話聞いたことあるし。
 よく、たたりとか霊とか言う人がいるけど、そういう状態のときはまともな判断力がなくなるからそういう幻覚が見えるんだと思う。つまり思い込み。俺は霊の仕業とは思わなかったけど、遅効性の毒を盛られたのだと思った。今考えると面白いけど、そんときゃマジだから気づかない。
 オウムの薬物イニシエーションもこれと同じような感じなのかも。終わってから幻覚だったと気づけばいいんだけどね。
 みんなもやろう、金縛り。体験しておく必要はあると思う。

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